2014年3月14日

『春一番』の悲劇

キャンディーズの「春一番」が2年前からラジオでかからなくなり、カラオケのリストからも外されているをご存知だろうか。これは、作曲した穂口雄右(ほぐちゆうすけ)さんがJASRAC(日本音楽著作権協会)を退会したことで、穂口さんが作詞と作曲の両方を手がけた「春一番」「夏が来た!」の著作権を穂口さん本人が管理することになったからだ。

穂口さんはJASRACによる著作権管理やその手続きが音楽の自由を阻害していると考え、もっと手軽に楽曲を楽しんでもらおうと著作権の自主管理を始めたとも言われている。


だが、既成のルールを崩そうとする穂口さんには反感も強く、「彼を利するようなことはしない」という暗黙の了解のもと、結果的に穂口さんに不利な形で業界が動いた。「春一番」「夏が来た!」はカラオケのリストから消え、ラジオでこれらの楽曲が流れることはほぼなくなってしまったのである。名曲がこんな形で聞けなくなるのは実に寂しい。

現在、この2曲に関しては穂口さんが代表を勤める「amvox(アムバックス)」という会社が著作権管理を担当。格安に設定された著作権料を支払えば、個人でも商業目的で自由に使用できる。一連の出来事は穂口さんにとって決してプラスなことばかりではなかったかもしれないが、彼の反乱は著作権問題を世に問ういい機会となったことは事実だ。